『シリーズ田園回帰』(全8巻、年4回発行)は、6月に刊行がスタート、第1巻は、島根県中山間地域研究センター研究統括監藤山浩氏による『田園回帰1%戦略―地元に人と仕事を取り戻す』。 刊行以来、全国紙3紙が書評で取り上げるなど注目を浴びている。(2015年7月5日読売新聞「過疎対策のバイブル的存在」、2015年8月16日朝日新聞「『消滅論』で意気消沈した自治体にぜひ、 本書で次の一歩を」、2015年10月18日毎日新聞「地域再生分野の決定版中の決定版」)
人口の1%相当の定住増加を実現すれば安定化が可能であるとする「人口の1%取り戻し戦略」や、地域内循環の取り戻しで所得の1%増加が見えてくるという「所得の1%取り戻し戦略」は、 講演や勉強会等で引っ張りだこの藤山氏が常に主張しているキーフレーズである。
長続きする暮らしや地域社会、地域経済を実現するにはどうすればよいか、「藤山理論」の集大成とも言える本書は、自分たちの地域のあり方は、自ら考え抜き、磨き上げるというシンプルではあるが、 忘れがちな勘所を呼び覚ましてくれる。
続く第2巻は、農文協「季刊地域」編集部による『総力取材 人口減少に立ち向かう市町村』。人口減少対策が、全国の自治体や地域に共通する課題となっている中、 自治体の政策とともに集落・自治会・公民館まで分け入って現場の動きを取材。 転換点となる戦略を①魅力的な子育て環境をつくる、②地域おこし協力隊の力を生かす、③農家を育て、地域に溶け込ませる、④地元出身者との関係を強めるという4つのポイントから掘り起こす。 北海道喜茂別町、熊本県山都町、秋田県五城目町、山形県川西町、福島県矢祭町、岐阜県白川村、鳥取県智頭町、島根県邑南町など各地域で奮闘する人々の営みが活写されている。
全国町村会の協力も得て刊行される『シリーズ田園回帰』は、ただ「人口」のためでなく、時間をかけて一人ひとりの豊かな人生と自治と民主主義をボトムアップで実現するための、 地域の計画づくりに役立つ「田園回帰」をめざしている。