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細胞はどう身体をつくったか-発生と認識の階層進化(新刊紹介)

印刷用ページを表示する 掲載日:2023年6月22日

実重重実

新曜社 2,700円+税

細胞はどう身体をつくったか

 地球温暖化に伴う異常気象・災害の頻発、新型コロナウイルスに見られる疫病の流行というように、地球規模で生命を脅かす現象が多発しており、それは、それぞれの地域社会を直撃している。その最前線で活動する方々は、日々こうした難題と格闘されているが、それは森林や動植物を育み、自然を慈しみ、自然の恩恵に浴していくことと表裏一体である。多忙な人も、時には生命や自然の本質をじっと見つめてみることが必要だろう。
 本書は微生物から植物、水生動物、さらには陸上動物、ヒトまで幅広く生物の発生を描き、最新の科学的知見に基づいてそれらがどのように進化してきたのか、そしてそれらはどのように相互作用し合い、つながり合っているのかを解き明かそうとする。
 「世界一面白い発生学の本を目指した」と著者は言うが、多彩な生物たちの不思議な生態を見ているうちに、それらのピースの断片が組み合わさって、やがて大きな1枚の絵となり、自然の体系が見えてくるように構成されている。
 すべての生命、すべての自然を大切にし、これらと共存していく上で、生物たちの対話や階層的な進化を知ることが必要だというのが著者の考えであり、本書はそうした生物界の大きなビジョンを平易な言葉で身近なものとして感じさせる1冊となっている。