水口猛、実重貴之、田中大輔著
やまとごころブックス 2,200円(税込)
地域の観光を根底から変える「起爆剤」がある。それがアドベンチャートラベルである。日本では聞きなじみがない方も多いかもしれないが、世界では72兆円の市場規模があり、急成長している旅行形態である。特筆すべきは、アドベンチャートラベルの世界大会が2021年に北海道/日本で開催されることだ。今後、日本でも定着することが大きく期待される旅行形態である。
では、アドベンチャートラベルとは何か。詳しい解説は著書をご覧いただきたいが、一言でいうなら「地域の自然や文化を能動的に体感する旅」である。これが達成されるなら、必ずしも難しいアクティビティをする必要はない。ハイキングや雪遊びでもいいし、郷土料理を食べるだけでも十分なのである。
もちろん、どの地域にもあるような素材を武器に闇雲に取り組んでもアドベンチャートラベルで稼ぐことは難しい。ガイドやDMO、それらを支える行政など、地域の最前線で奮闘する者のための具体的な事例やヒントが著書の中で紹介されている。
今、世界の観光は様々な課題に直面している。アフターコロナ・ウィズコロナ、オーバーツーリズム、SDGsなど、それらを解決するための鍵がアドベンチャートラベルなのである。新型コロナウイルス感染症で落ち込んだ地域観光を浮揚させたいと考えている観光関係者には是非とも読んでいただきたい一冊となっている。