全国町村会長挨拶

　全国町村会長の荒木です。本会は、北海道から九州・沖縄まで９２６町村（743町・183村）の連合組織ですが、大都市から遠く離れた山間部や離島地域も含め、全国それぞれの地域の町や村の元気なくして日本の元気は生まれないとの思いをもって、全町村一丸となって令和新時代のまちづくり・むらづくりに取り組んでおります。

　私たちは、全国の町村合わせて総人口の１割ほどの存在ですが、国土の4割を支え、先人から受け継いだ農山漁村の暮らしや多彩な自然、伝統・文化を守り育て、食料・エネルギーの供給、水源涵養、国土の保全など国民生活を支える重要な役割を担い続けております。時代時代に様々な困難はありますが、地域の個性をみがき、小さくともキラリと光る地域経営に懸命に取り組んでおります。

　私たちの原点は、住民一人ひとりの存在の大きさを心から実感できる地域社会をつくっていくことだと考えております。

　東日本大震災以降も、私の地元も含め全国どこかで毎年大きな自然災害が発生しております。私たちは、自然の恵みとともに、その脅威が背中合わせの最前線にあって、これからも現場から生きる知恵を学び、調和的で持続可能な地域社会の実現をめざしてまいります。

　我が国のこれからの時代の最大の課題である人口減少・少子高齢社会への対応は、大都市に先行しておりますが、私たちが日々実践する行政と住民による地域ぐるみの取組みは、地方のみならず大都市も含め、我が国の希望の未来を切り拓くものと確信しております。近年、若者や都市住民の田園回帰や、地方と多様な関わりを持つ「関係人口」が注目されるようになってまいりましたが、本会が主張する「都市と農山漁村が共生する社会の実現」に向けて、これからも全国の町村関係者が相互に連携協力して取り組んでまいる所存です。

　私たち町村は、人口や経済等の規模だけではけっしてはかることのできない、国民にとってかけがえのない存在であり続けたいと思います。これからも努力を重ねてまいります。皆様方のご理解とご支援を心からお願い申し上げます。