ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
トップページ > 町村の取組 > 秋田県五城目町/思いやりと活力に満ちたふるさとの創生 自然にやさしく、人健やかにしてやすらぎ、産業が息づき、明るく文化の香り高い風土の形成と人々が交流する「ふるさと五城目町」をめざして

秋田県五城目町/思いやりと活力に満ちたふるさとの創生 自然にやさしく、人健やかにしてやすらぎ、産業が息づき、明るく文化の香り高い風土の形成と人々が交流する「ふるさと五城目町」をめざして

印刷用ページを表示する 掲載日:2011年4月11日
秋田県五城目町の写真

秋田県五城目町

2756号(2011年4月11日)  五城目町まちづくり課 澤田石清樹


町の状況

五城目町は、秋田県の中央部、八郎潟の東部に位置し、町土の面積214.94平方km、人口10,978人(平成23年2月末住民基本台帳)の行政規模となっています。

急峻な山岳地帯から肥沃な水田地帯まで変化に富んだ農業と林業の農山村であるとともに、中心部には500年の伝統を誇る露天朝市が栄え、製材、家具、建具、打刃物、醸造業と商店街が発達し、湖東部における商工都市を形成しています。

気候は、年平均気温11.2℃、年降水量1,790㎜、最深積雪値40㎝(平成21年秋田地方気象台)で、春夏秋冬の季節感がはっきり体感できる地域であります。

現在の五城目町は、昭和30年に旧五城目町、馬場目村、富津内村、内川村、大川村が合併、さらに昭和33年に面潟村の一部が編入して誕生しました。その後、いわゆる平成の大合併においては自立による行政運営を余儀なくされ、単独立町として現在に至っています。

協働のまちづくり

これからの地域の課題解決や暮らしやすいまちづくりを進めていくためには、町民と行政が、一緒に考え、一緒に汗を流して、互いに協力し合い、同じ目的を持って取り組む必要があります。五城目町では、地域の課題解決やまちづくりを、町民が主体的に考え、実践し、これを行政が支援していくといったパートナーシップを重視した「協働」の関係を築き、新しいまちづくりを進めています。

平成20年6月には、誰でも健康増進や憩いの場として自由に使用できる芝生広場を整備しようと、芝張り作業を実施しました。作業には2日間で約350人のボランティアが集まり、約4千平方mの土地へ4万枚の芝の苗を植え付けました。

町では、このように町民が自主的、主体的に行う、地域環境の美化、清掃、ごみ対策など、身近な環境をきれいにする活動や地域を元気にする多彩なイベント開催などの“まちづくり活動”を支援しています。

まちづくり活動の写真

五城目朝市を活用したまちづくり

西暦1495年、このころ五城目町の町村に馬場目の地頭・安東李宗が斎藤弥七郎に命じて「市神」をまつらせ、市が始まったと伝えられています。その後馬場目城が滅び、藤原内記秀盛が地頭として一円を治め、山よりの町村から谷口の砂沢城下、五十目に市が移され、物と人がさらに集まり発展しました。

江戸時代は、久保田と能代や檜山の中間、そして阿仁鉱山への物資補給の基地として栄え、さまざまな職人が集まり、農作業や生活に必要なものがすべてそろっていました。

豊富な自然の恵みから、包丁や桶、ザル、衣類などの生活用品まで。暮らしに密着した市の伝統そのままに、五城目「市」は、戦後六斎市から、2・5・7・0の付く日に行われる十二斎市になりました。時代が変わっても市は、人々との生活と密着していたことから、今日も繁栄し続けています。

正月の初売りに始まり、福寿草の苗やフキノトウが春の息吹を伝えると、新緑と共にワラビ、ゼンマイなど多彩な山菜が並び、5月には祭市。そこには色鮮やかな野菜が加わり始めて、8月は盆市。夏が過ぎて、栗やキノコが顔を出し、大根や白菜など漬物の素材が増えるにつれて冬へ。そして、正月用品の買い出しで大変なにぎわいとなる歳の市。そのほか、イベントとして、5月春まつり、6月市神祭、10月秋まつり、2月冬まつりを開催しています。

朝市は、春夏秋冬の旬の彩をあざやかに放ち、訪れる人々の心を和ませます。

今年4月、朝市の歴史や伝統を次代に継承するとともに、交流の場として文化及び産業の振興を図り、中心市街地の活性化に寄与するため、「朝市ふれあい館」が完成します。

この朝市ふれあい館は、歴史的地域資源である朝市の集客を活用した観光交流拠点の形成等によるにぎわい創出し、安全に回遊できる「ぬくもり」と「にぎわい」ネットワークの形成による街なかへの誘客、更には少子高齢化に対応したコミュニティづくりによる地域交流の活性化に大いに期待しているところです。

千代田区との姉妹提携によるまちづくり

昭和60年来から交流友好関係を深めてきた千代田区と五城目町は、平成元年10月姉妹都市提携を結び、以来行政の交流はもちろん、子どもから大人のスポーツ交流、町内会・福祉・消防防災など、年々その輪を広げ、交流が盛んになっています。

首都圏に住む五城目町出身者で結成された「ふるさと五城目会」は、会員相互の親睦を図りながら、千代田区や五城目町の行事に参加したり、会報を発行したりと積極的な活動を続け、姉妹都市提携の架け橋的存在になっています。

千代田区と姉妹都市の縁を結ぶことにより、互いの個性的な特性を活かしながら住民同士が親しく交流し、また非常時や緊急時には協力し、助け合いながら、相互の発展に努めています。

平成21年10月には五城目町・千代田区姉妹提携20周年記念式典が行われ、これまでの20年の歩みを振り返るとともに、今後、両自治体が益々発展し、より一層友好が深まることを誓い合いました。

また、千代田区と五城目町の姉妹提携20周年を記念して始まった「五城目町・千代田区児童双方向交流事業」の交流体験が今年1月に五城目町で開催され、区児童19人が、雪遊び、郷土食づくり、布ぞうりづくりなど、田舎ならではの体験を行い、各家庭にホームスティするなど、五城目町での生活をより身近に体験するとともに、お互いに交流を深めることができました。

だまこ鍋の写真

だまこ鍋
鶏ダシ仕立てのスープに、ご飯をすりつぶして丸めた“だまこもち”とキノコや野菜を加えた鍋。古くから五城目町の家庭料理として食されてきた、町を代表する郷土料理です。

新たな町特産物「キイチゴ」の誕生

キイチゴ類は、欧米ではラズベリー、ブラックベリーなどの名前で、知られている主要な果実のひとつです。日本のキイチゴの輸入量はここ10年間で10倍以上に増加し、キイチゴ類への需要は高くなっています。しかし、日本には主要産地がありません。五城目町では「五城目町農業活性化促進会議」における「平成19年度五城目町農業活性化に対する提言」の中で、キイチゴを特産品として推進することを決定しました。

その要望に答えるべく、五城目町では「他県に先駆けて供給体制をつくり上げたい」「秋田県独自の特性を持ったキイチゴ品種を生産したい」という声があがりました。そして、平成20年に秋田県立大学との産学共同研究で「五城目町キイチゴ研究会」を立ち上げました。

研究会では、毎月大学から栽培技術の指導と同時にマーケティングの研究指導も受けています。

現在、キイチゴの商品として町内の和菓子職人による「キイチゴ最中」、県内の酒造会社による「キイチゴを使ったリキュール酒」や県内飲食関係者によるキイチゴカクテル、キイチゴ生ジュースが発売されています。特にキイチゴ生ジュースは、県内のイベントから声が掛かりたくさんの方々に味わって頂いています。また、洋菓子業界からも引き合いが多く、ケーキやパフェなどに生果実・冷凍果実が利用されています。加えて3月に、キイチゴのカップアイスクリームが新発売されました。県内外からの関心も高く、その期待に応えるべく会員も生産に力を入れており、今後さらなる活動が期待されています。

小規模高齢化集落におけるまちづくり

秋田県では、過疎化や高齢化等の進行により、集落活動の停滞など、活力の低下する集落が増加傾向にあることから、高齢化等集落の自立と活性化を促すため、市町村との協働による高齢化等集落対策に取り組んでいます。その取り組みの中で、小規模高齢化集落を対象にした「元気なムラづくりプロジェクト支援」として、県内20市町村52集落の住民の生活等に関する「明るさ・希望調査」が行われました。

本町では、3地区7集落が対象となっています。集落の活性化に向け、一人一役による住民全員参加型の集落づくりや住民が主体となった実践活動への展開を目指し、県元気ムラ推進チームと連携して、地区毎にワークショップを開催するとともに、住民主体による話し合いの開催や地域住民から研修会などに参加していただいています。

また、高齢者地域における買い物支援と交通手段確保のため、課題の抽出と解決策の検討も進めており、無料貸し切りバス運行による郊外型大型店舗での買い物支援などが行われており、安定した交通運行が確保されるとともに、買い物などの日常生活における不安を取り除き、高齢者が生き生きと安心して暮らせることが期待されています。

映画「釣りキチ三平」のロケ地が新たな観光資源

映画「釣りキチ三平」のロケ地は、平成21年3月の映画公開によって、この町の豊かな自然や文化などを広く全国に発信することができ、築100年の茅葺民家「三平の家」、馬場目川源流部にある巨岩「ネコバリ岩」は、訪れる多くの人々に感動を与えており、新たな魅力ある観光資源になりつつあります。

「三平の家」には、観光案内人を配置し、一般公開を行っておりますが、入館者は、毎日30人から50人の観光客で賑わいをみせており、これまでの当地域への登山、渓流釣りなどの観光入込客数(年間約7,500人)に匹敵する人数となっています。

町では、このロケ地観光のほか、馬場目地区の特色を活かした、最奥地の茅葺集落、棚田、独特の巨岩で形成された流域などの景観保全に努めるなど、賑わい溢れる山村集落の再生に取り組んでいます。

また、豊かな地域資源を活用し、賑わい溢れる交流の場の提供と、地産地消による地域の活性化及び観光情報発信拠点の設置を目的として整備した農家レストランは、昨年4月にオープンしています。

開業時から各種報道機関による取材や報道がなされ、1日の食事の提供数は当初見込みの倍以上となっており、旬の山菜を中心としたメニューを提供していますが、お客様からはヘルシーで大変おいしいと高い評価をいただいており、リピーターも多く、大変喜ばしく思っています。

ネコバリ岩の写真

「釣りキチ三平」のロケ地にもなった巨岩「ネコバリ岩」

盆城庵(ぼんじょうあん)の写真

盆城庵(ぼんじょうあん)
古民家を復元して建てられた茅葺屋根の宿泊施設。暖炉裏で山村生活を体験。1月1組限定の自炊の宿。

最後に

私たちを取り巻く環境は、大変厳しいものがありますが、五城目町では、小規模高齢化集落における集落機能の強化、朝市を核とした中心市街地活性化事業による更なる地域経済の活性化、町民生活に密着した福祉の充実や生活基盤の整備、産業・教育の振興など、各種事業を展開し、地域の資源を活かしながら「豊かで暮らしやすい地域の形成」に向けて、当面する課題に積極的に取り組み、安心・安全に暮らせるまちづくりを進めたいと思います。