ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
トップページ > 町村長随想 > 「体験教育旅行」実践の効果

「体験教育旅行」実践の効果

印刷用ページを表示する 掲載日:2012年5月21日

「体験教育旅行」実践の効果

福井県美浜町長 山口 治太郎

福井県美浜町は、北は日本海に面し、南は滋賀県境に標高900メートルの山が連なっている。

面積は152平方キロメートルで約8割が山林である。その山々を源とする清流耳川が町の中央部を流れ、若狭湾へと注いでいる。

若狭湾は、リアス式海岸で変化に富んでおり、当町だけで12の海水浴場がある。

西側に隣接している若狭町との間にある、国の名勝地に指定された三方五湖は若狭湾国定公園の中核をなしている。

この景勝を広くPRして観光客を増やす一方、戦前から県内外に親しまれてきた臨海学校や若者、家族連れで賑わった海水浴客等で、昭和50年代から平成8年頃までは年間の入込み客は約180万人あった。

しかし、近年では海水浴離れと団体旅行の減少や観光客の好みの変化で入込み客数は半減となってしまった。

このような状況を打開する方策として美浜町出身で名誉町民でもある歌手の五木ひろしさんの御協力で「美浜・五木ひろしマラソン大会」を開催して今年で24回を迎えるが、 毎回、五木さんがご夫婦お揃いで出場し、ミニコンサートを行って頂けるので、出走者と応援者で約1万人の参加者があり、その内7割が県外のお客さんであることから、美浜町の知名度アップに大きく寄与して頂いている。

他にも集客を目的としたいくつかのイベントを行っているが、最も力を入れて取り組んだのは、町の自然・産業・文化などの資源を体験プログラムとしてまとめ、交流を目的とした「体験型観光」である。

美浜町にはホテルや漁村型の民宿は相当数あるが「若狭美浜はあとふる体験推進協議会」を設立して、教育旅行で人気のある民泊を受け入れて頂ける家庭を募集し、今では100軒を超えている。

体験プログラムとしては「大敷網の漁船に乗り漁師と網を引く体験、魚さばき体験、しじみ漁体験等の漁業体験」、「ラムサール条約に登録された久く々ぐ子し湖のボートコースでのボート体験、渓流釣り体験等の自然・アウトドア体験」、「田植えや稲刈り体験、野菜の収穫体験、炭焼き体験等の農林業体験」、「美浜特産のへしこ料理体験、そば打ち等の味覚体験」、「押し花作りやつる細工づくり体験、文化財探訪等の工芸、歴史文化体験」で75プログラムがある。

これらの体験教育の狙いは町の産業の振興であるのはもちろんのこと、教育効果を上げ、子供の学ぶ意欲を高めてインストラクターの指導により、体験した子供が健全な体と心を育んでくれることにある。

体験した子供からは民泊が家族以上に接してくれた感謝の手紙や、文集にして送って頂ける学校もあり、全員が感動を土産に持ち帰ってくれた事が伝わりこちらも心が和むが、それ以上に嬉しく胸が熱くなるのが親御さんからの手紙である。

僅か数泊の体験でわが子が成長してくれた喜びと感謝の気持ちが綴ってある。

「買い物に一緒に行った時、子供が大きなイカを買えと言うので買って帰りました。私もできない包丁捌きでお造りを作ってくれました。」

「体験教育から帰った子供が仕事でいつも帰宅が遅い父親の帰りを待って一日の出来事を毎日話すようになり、父親も楽しみで早く帰宅するようになった。息子を変えるきっかけとなった美浜とはどんなところなのか、家族で来ました。」

これはボート体験をした子供のインストラクターが、『お前ら親と話をしないといかん。最低一ヶ月は続けんといかん』この一言をボートの指導の時言っただけなのです。

これからの日本を託する子供の「自覚した成長」に果たす体験教育の役目は、誠に大きいと感じております。