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山本会長が地方制度調査会第4回総会で意見 =「当面する地方税財政措置に関する意見(案)」について

印刷用ページを表示する 掲載日:2002年11月29日

地方制度調査会第4回総会の写真
地方制度調査会第4回総会

意見を述べる山本会長の写真
意見を述べる山本会長

 第27次地方制度調査会(首相の諮問機関、諸井虔会長)の第4回総会が11月29日、東京の霞ヶ関ビルで開催され、「当面する地方税財政措置に関する意見(案)(PDFファイル:)」について審議を行いました。
 総会では、はじめに松本専門小委員長が、「当面の地方税財政は極めて厳しく、地方分権改革推進会議において事務事業の在り方に関する意見がとりまとめられたことを踏まえ、地方制度調査会としても総理に意見を具申すべき」という考え方から専門小委員会において意見案をとりまとめたことを報告しました。
 続いて、「意見(案)」の内容について事務局から説明がなされた後、審議が行われ、委員として参画している全国町村会の山本会長(福岡県添田町長)は、「財政力が弱い町村同士が合併しても自立は生まれない」、「これ以上の段階補正と事業費補正の見直しは容認できない」などと意見を述べました。
 また、石井岡山県知事、青木全国市長会会長(東京都立川市長)などから「国庫補助負担金、税源移譲を含む税源配分のあり方、地方交付税の見直しは三位一体で行うべきであり、歳出の削減のみを目的とした国庫補助負担金の廃止・縮減を先行して実施し、地方への負担転嫁とすべきでない」、「地方交付税の財源保障機能を堅持し、所要総額を確保すべき」、「税源移譲、財源確保の項目を先頭に出し、もっと紙面を割いて地方の立場を主張すべき」等との意見が出されました。
 同日、総会での議論を踏まえて意見(案)を修正した後、諸井同調査会会長が小泉内閣総理大臣に意見書を提出しました。
 なお、基礎的自治体のあり方をはじめ、これからの行政体制のあり方に関しては年明け後、議論していくこととされました。
 山本会長の発言要旨と「当面する地方税財政措置に関する意見」の全文は次のとおりです。


山本会長発言要旨

1.市町村合併について

 市町村合併について、最近ではまるで国の法律で強制的にやると決められているかのような文言が非常に目立つ。我々は常々合併は自主的にと主張してきた。この案の中にも市町村合併について触れている部分があるが、「市町村合併は関係市町村の自主性を尊重しつつ」というような文言を入れていただきたい。

 地方交付税について述べた部分で、「市町村合併の推進による財政力の均衡化等を含め、総合的な検討を行うことが必要である」とあるが、この部分を具体的に説明してほしい。また、「等」の具体的内容は何か併せて説明してほしい。(注…この部分は総理に提出した意見書からは削除された。)

 市町村合併し、三位一体の税財源の改革を行えば町村は自立できるようになると言われているが、マイナス1が10集まってもプラスにならないのと同じで、財政力が弱い町村が集まって合併しても財政力は上がらず、自立は生まれてこない。そういった面を全く考慮しないで合併促進をやらせているのが実態である。そのことについては今までも、この案でも一言も述べられていない。
 合併しようとする町村の周辺に財政力豊かな市があればいいがなかなかない。私の地元も10カ市町村あるがみな財政力が弱く、これが合併してもプラスにはならず自立は生まれないだろう。さらに範囲を大きくしようとしても地理的、文化的な問題から難しい。
 言われているような自立力が合併によって生まれてくる可能性はない。このことが財政の部分できちんと述べられていないと安心して合併することができないのではないか。

2.地方交付税について

 もともと地方交付税は地方固有の財源であるが、その配分を国がやっているので、いかにも自分のものを分けてやっているのだという感覚で書かれているのが残念。

 段階補正と事業費補正の見直しについては、一回目は我々もやむを得ず承知したが、これをだんだん強化することはやめていただきたい。
 段階補正があればこそ小さな町村も国が法律で定めたサービスを住民に提供することができたのであり、見直しをさらに強化すると町村の財政は益々逼迫して硬直化するので、これ以上削減することには賛成できない。

3.固定資産税等について

 現行負担水準の上限である70%を55%にすると、市町村が影響を大きく受けることになるので、現行水準を堅持すべきである。

 ゴルフ場利用税は町村にとって貴重な財源であり、今のやり方を望んでいる。

当面の地方税財政措置に関する意見

PDFファイルで一括ダウンロード(PDFファイル:)

平成14年11月29日

地方制度調査会

1 地方財政の現状と課題

 現下の地方財攻は、年間約14兆円に上る財源不足を生じ、その多くを借入金で補てんせざるを得ない状況が続いている。その結果、地方財政の借入金残高は平成14年度末で195兆円に達しており、非常事態とも言うべき段階に至っている。その背景には、引き続く景気の低迷により国・地方とも大幅な税収不足が生じる中で、国の財政も特例公債に依存する運営を余儀なくされており、これに伴って国の歳出と密接に関連する地方財政においても財源不足が拡大するという構造的な問題がある。このため国・地方を通ずる徹底した行財政の簡素・効率化等により、歳出の抑制を図るとともに、経済活性化を図ることにより税収増に努めることによって、国・地方をあわせた財政収支の改善を図り、健全化を進めることが急務となっている。
 一方、現在の地方財政の歳入構造を見ると、国庫支出金や地方交付税など国からの財源に依存する割合が高く、地方税収入の構成比は全体として3割強にとどまっており、地方歳出との差額を国庫補助負担金や地方交付税などで埋める構造となっている。このことが、地域及び住民の受益と負担の対応関係を不明確にし、地方における歳出の効率化を妨げる要因ともなっている。このため、今後は、歳出面において、法令基準や国庫補助負担制度を通じた国の関与を廃止・縮減し、地方の自己決定権を拡大するとともに、地方における歳出規模と地方税収入の乖離をできるだけ縮小するという観点に立って、自主財源である地方税の拡充を図ることにより、地方税中心の歳入体系を構築し、地方分権時代にふさわしい地方税財政基盤を確立することが必要である。

2 三位一体の改革の推進

 このような状況を受けて、政府は去る6月25日、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2002」を閣議決定し、「構造改革と経済財政の中期展望」(平成14年1月25日閣議決定。以下、「改革と展望」という。)の対象期間である平成18年度までの間を通じて、国庫補助負担金、税源移譲を含む税源配分のあり方、地方交付税の三位一体の改革を推進することとし、国の関与を縮小するとともに、地方の権限と責任を大幅に拡大し、地方財政の自立を日指す方針を明らかにした。当調査会としては、この改革を通じ、地方税中心の歳入体系を構築し、地方歳出に対する国の関与を廃止・縮減することにより、歳入・歳出両面において地方の自立性を向上させるとともに、地方が個性を発揮し、自主的に施策を選択することを可能とすることを通じて、国・地方を通じた歳出の効率化を図ることが重要であると考える。
 また、現下の危機的な地方財政の状況に鑑みれば、こうした自己決定・自己責任の原則に基づく地方税財政制度の改革とあわせて、地方財政の健全化と地方行財政運営の効率化を強力に推進することが不可欠である。このため、地方財政計画における歳出を計画的に抑制し、地方財源不足の縮小を図るとともに、各地方公共団体自らもさらなる徹底的な行財政改革を推進し、行政運営の簡素・効率化、経費の節減合理化を図ることにより、地方財政の健全化に向けて最大限の努力を行う必要がある。
 さらに、市町村の合併は、地方公共団体の行財政基盤の拡充と自立能力の向上、住民自治の充実、さらには地方行財政運営の効率化を図っていく上で喫緊の課題であり、市町村の合併の特例に関する法律の期限である平成17年3月までに十分な成果があげられるよう、国、都道府県、市町村が一体となって自主的な市町村合併について一層積極的な取組みを進めるべきである。
 以上のような基本的考え方を踏まえ、今後次のとおり地方税財政制度に係る三位一体の改革を推進するべきである。

(1)税源移譲を含む国と地方の税源配分のあり方

 地方税については、地域及び住民の受益と負担の対応関係の明確化を図るという観点から、税源移譲を含む国と地方の税源配分の見直しなどにより、その充実確保を図り、地方における歳出規模と地方税収入との乖離を縮小し、地方税中心の歳入体系を構築して行くべきである。その際には、個人住民税、地方消費税の充実を図ることなどにより、税源の偏在性が少なく、税収の安定性を備えた地方税体系の構築に努める必要がある。

(2)国庫補助負担金の廃止・縮減

 国庫補助負担金の廃止・縮減は、三位一体の改革の入口であるとともに、改革全体を左右する。「改革と展望」の期間中、三位一体の改革につながる数兆円規模の廃止・縮減が行われるよう、各省庁において実効ある改革案が策定される必要がある。そのためには、国庫補助負担金全体を通ずる廃止・縮減の具体的基準や数値目標等を設定するなど明確な方針の下に取り組みを進めることが必要である。例えば、人件費や事務費、施設の運営費や設備整備費、住民に身近な生活基盤の整備、施設の維持補修や局部改良などに係る国庫補助負担金については速やかに廃止・縮減し、一般財源による措置に移行することが望ましく、可能なものは来年度から実施すべきである。
 また、義務教育費国庫負担金については、退職手当、共済長期給付等に係る経費を国庫負担対象から除外する案が検討されているが、これについては、財源措置も明らかにされず、何ら地方の自主性向上にもつながらないことから、地方公共団体の強い反発を招いている。このままでは、単なる地方への負担転嫁となりかねず、当調査会としても強い危慎を抱かざるを得ない。今後、義務教育費国庫負担金のあり方について検討を行うに当たっては、地方公共団体の批判を十分に踏まえるべきであり、また、現行制度の下では、標準法の規定に加え、国庫負担制度が地方公共団体の自主的な判断を制約している実情にあることも踏まえた上、地方公共団体が地域の実情に応じた取組みができるよう、地方の自主性を拡大し、その創意と工夫を活かしていくしくみとしていくことを基本に改革を進めていくべきである。
 なお、三位一体の改革の中で、国庫補助負担金の廃止・縮減後、引き続き事務事業が存続するものについては、税源移譲等により所要の財源措置が講じられる必要があることは言うまでもなく、単に国の歳出削減を目的として地方への負担転嫁がなされるようなことはあってはならない。各省庁においては、このように所要の自主財源が確保され、併せて地方交付税の算定を通じて必要な財源措置が講じられることにより、行政水準の確保には支障は生じないことを踏まえて、国庫補助負担金の廃止・縮減に向けて積極的な取り組みを行うべきである。

(3)地方交付税の見直し

 地方交付税については、財源保障機能をめぐって様々な議論が行われているが、財源保障機能は、国が内政の大半を地方公共団体に委ね、法令等による基準の設定や国庫補助負担制度を通じて一定の行政水準の確保を求めているしくみと不可分の関係にある。また、財源調整機能と一体として、財政カの差にかかわらず、地方公共団体が必要な行政サービスを供給することを可能としている。したがって、国が地方公共団体に一定の行政水準の確保を求める基本的なしくみが存続する以上、地方交付税を通じた財源保障は堅持しなければならない。
 地方交付税についてはこのような基本的考え方に立ちつつ、三位一体の改革の中で、その総額のあり方や算定のしくみの見直しを行っていくことが必要である。
 まず、地方交付税の総額については、三位一体の改革の中で、国庫補助負担金の廃止・縮減額、税源移譲規模等に対応した見直しが行われることとなるが、その場合、税源移譲等による地方税の拡充により、地方交付税は量的には縮小することはあっても、税源移譲に伴い地方公共団体間の財政力格差が拡大する中で、地方交付税の担う財政カ格差の是正機能の必要性はむしろ高まることとなる。なお、税源移譲に伴う財政カ格差の拡大については、これに対応した財源均てん化の具体的方策について総合的な検討を行うことが必要である。
 また、「改革と展望」の期間中、地方財政計画における歳出を中期的な目標の下に計画的に抑制することにより、地方交付税所要額を抑制するよう努めることが必要である。
 さらに、地方交付税の算定方法についても地方の自主的・自立的な財政運営を促す方向で見直しを行うことが必要である。具体的には、法令基準や国庫補助負担制度による国の関与の廃止・縮減に対応した算定の簡素化を行うことにより、地方交付税の算定を通じた個々の事務事業に対する財源保障のあり方を見直していくことが必要である。また、平成14年度から実施している事業費補正・段階補正の見直しを引き続き実施するとともに、留保財源率については、個々の団体への影響に留意しつつ、税収確保努力へのインセンティブを更に強めていく観点から、その引上げを行うことが適当である。

3 平成15年度における地方税財政措置

 明年度の地方財政は、法人関係税をはじめとする地方税の減収、公債費等の義務的経費の増加等により、引き続き巨額の財源不足が生じることが必至の状況であり、歳出の抑制及び税収の確保等を図ることにより、財源不足の縮小と借入金の抑制に向けて財政健全化の努力を最大限に行うべきである。その上で、なお生ずる財源不足については、平成13年度に講じた制度改正を踏まえ、地方財政の運営に支障が生じないよう所要の補てん措置を講ずる必要がある。
 平成15年度の地方税財政については、上記のとおり「改革と展望」の期間中において地方税財政制度に係る三位一体の改革を推進することとされていることを踏まえつつ、下記により適切な措置を講ずるべきである。
 なお、平成15年度予算編成と併行して、本年度の補正予算編成作業が行われているが、補正予算に計上される事業が円滑に執行されるよう、補正予算に伴う地方負担額については適切な地方財政措置を講ずるとともに、本年度における国税収入の補正に伴う地方交付税の減収及び地方税の減収についても、地方公共団体の財政運営に支障を生じることのないよう、適切な措置を講ずる必要がある。

(1)地方歳出の抑制

 地方財政計画の策定に当たっては、地方歳出に関連する国の施策を見直すことにより関係経費の見直しを図るとともに、併せて職員数、地方単独事業費等について前述のとおり中期的な目標を明示しつつ、歳出の抑制を図り、計画規模の抑制に努めるべきである。
 なお、地方公共団体の財政負担の増加や職員の増員等をもたらすような施策については、慎重に検討することが必要である。

(2)地方税

 地方税については、「自助と自律」にふさわしい歳入基盤を確立する観点から、その充実確保を図るべきである。特に、都道府県の基幹税である法人事業税への外形標準課税の導入は、税負担の公平性の確保、応益課税としての税の性格の明確化、地方分権を支える基幹税の安定化、経済の活性化・経済構造改革の促進などの重要な意義を有する改革である。受益と負担の関係を明確にして真の地方分権の実現に資するため、平成15年度税制改正において外形標準課税を導入すべきである。
 また、固定資産税は、市町村の基幹税目であり、厳しい市町村財政の状況の下、今後もその安定的な確保が重要である。平成15年度以降の固定資産税の税負担については、評価替えの動向等を踏まえ、これまでの負担調整措置を基本に、負担の均衡化・適正化を一層促進する必要がある。加えて、情報開示については、制度改正を踏まえて積極的に推進すべきである。

(3)地方交付税

 地方交付税については、地方財政計画の歳出について厳しく見直しを図った上で、地方公共団体が責任を負う事務事業の実施に支障が生ずることのないよう、所要の総額を確保する必要がある。また、交付税の算定方法については、先に述べたように地方公共団体の自主的・主体的な財政運営を促す観点から、事業費補正・段階補正の見直しを引き続き実施するとともに、平成15年度から都道府県分の留保財源率を5%引上げることが適当である。

(4)国庫補助負担金

 国庫補助負担金については、地方歳出に対する国の関与を縮小する観点から積極的に廃止・縮減を図るとともに、補助負担金の廃止・縮減後も事務事業が存続するものについては、税源移譲により所要の地方一般財源を確保することを基本とし、平成15年度に直ちに税源移譲が行われない場合には、これに代わる適切な措置を講ずるべきである。

(5)地方道路特定財源

 国の道路特定財源の見直しに当たっては、地方道の整備状況の立ち遅れ、地方道路整備費に占める道路特定財源が3割程度という現状を踏まえ、地方道路財源の拡充を図ることが重要である。

(6)公営企業金融公庫の機能の堅持

 公営企業金融公庫は、長期低利の良質な公的資金を地方公共団体に供給し、公共料金の抑制や地方財政の負担軽減に大きく寄与しているところであり、今後ともこのような機能を堅持すべきである。

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