先に公表された厚生労働省による「医療制度改革試案」は、国民に負担を転嫁することを中心とした、財政面に対する当面の制度改正のみで、抜本的改革には値せず評価できるものではない。
とくに、負担と給付の公平化のため、全国町村会および日本医師会が従来から主張している医療保険制度の一本化が取り上げられておらず、高齢者医療については、小手先だけの老人保健制度の見直しに終始し、中長期ビジョンが全く示されていないことは誠に遺憾である。
全国町村会および日本医師会は、医療保険制度の一本化に向けての方策および合理的な医療費に関する方策について次のとおり提言する。
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(1) |
キャップ制等の強制的な医療費抑制方式は導入しないこと。 |
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(2) |
患者負担増と保険料増額の同時施行は避けること。 |
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(3) |
高齢者を中心として、長期療養者や慢性疾患に対する合理的な診療報酬包括支払方式を導入すること。 |
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(4) |
かかりつけ医機能の強化促進により、不必要な重複受診を避けること。 |
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(5) |
薬価および心臓ペースメーカー、人工関節、ダイアライザー等の医療用具・保険医療材料価格の強力な適正化をはかること。 |
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(6) |
レセプト審査の適正化をはかるとともに、レセプトおよびカルテの電子化を推進するため、国が財政支援を行うこと。 |
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(7) |
難病等の特殊な疾病については、国の負担とすること。 |
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(8) |
低所得者対策については、制度外で実施するなど十分に配慮すること。 |
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(9) |
生活習慣病対策の推進をはかるとともに、国は市町村保健事業を支援すること。
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