28. 住民訴訟制度の改善


 地方分権一括法が施行され、地方公共団体が一定の住民監視の下で自己責任の原則を踏まえた行政運営にあたることは、財務会計管理の妥当性や健全性を確保する上で一層重要になっている。

 しかしながら、近年の住民訴訟の実態をみると、政策判断の当否を対象としたものや長や職員個人に対する巨額の損害賠償事件として争われるものが相当数にのぼるなど、地方公共団体においては積極的な施策の展開や円滑な行政執行に支障を来している場合も少なくない状況にあり、現行の住民訴訟制度に関しては、早急に見直しを行う必要がある。

 よって、国は住民訴訟制度の見直しに際しては、住民監視機能の有用性を維持しつつ、地方公共団体が地域住民と相互に補完しながら信頼と協力関係を醸成し、分権時代に相応しい個性的で活力あふれる施策の展開と円滑な行政運営の推進に資するよう、制度の改善に向け関係法令等の早急な整備を図られたい。