26. 災害対策の推進


 最近の有珠山の火山活動、三宅島の火山活動及び新島・神津島近海等の地震活動、東海地方豪雨、鳥取県西部地震、芸予地震などの頻発する災害に対し、被災町村は、一日も早い災害復旧と、住民生活の安全確保のため、復旧作業に努めているところであるが、ついては、国においても災害対策の一層の充実をはかる観点からも、次の事項を実現されたい。

1. 大震災等災害対策の確立
(1) 阪神・淡路大震災等の貴重な経験や教訓を踏まえ、災害に対し、迅速かつ的確に対応できるよう、国、都道府県、市町村等にわたる総合調整体制の強化を行い、財政措置の充実を含め、災害予防対策、災害応急対策、災害復旧対策を確立するとともに、地震災害に関する資料の収集、保存、展示、防災に関する総合的、実践的な能力を有する人材の育成等の事業の推進をはかること。

(2) 電気、水道、ガス等のライフラインの安全性の強化をはかること。

(3) 基幹となる交通、通信施設の災害に対する安全性を充分なものとすること。また、公共施設等の耐震性、不燃化対策を強化すること。

(4) 公園・緑地および緊急輸送道路、特に農道、林道等を整備すること。

(5) 貯水槽の整備および井戸の活用による緊急時の生活用水の確保、食料の備蓄および炊き出しのための資材整備について万全の備えを行うこと。

(6) 災害等に対応する自主防災組織の育成・強化とその活動が円滑に推進できるよう、財政措置の充実および補償制度の確立をはかること。
 また、災害ボランティアの育成と活動環境を整備すること。

(7) 近年の災害をめぐる状況の変化や、省庁再編に伴う防災体制の再編成を踏まえて、防災基本計画の必要な見直しを行うこと。また、防災対策の総合的な充実強化をはかるため、町村が地域防災計画の見直しを行うにあたっては、必要な財政措置を講じること。

(8) 地震防災対策特別措置法に基づく地震防災緊急事業計画により実施される地震防災緊急事業の円滑な実施のため、所要の財政措置の充実、強化をはかること。また、いわゆる地震財特法に基づく地震対策緊急整備事業の推進をはかること。

2. 地震、津波、噴火、豪雨等、各種災害に対するハード・ソフトを組み合わせた総合的な対策を確立、推進すること。

3. 地震予知については、実際に地震が起こった際の被害を軽減するためにも重要であるので、さらに精度を高めるための調査研究を推進すること。

4. 非常時における情報通信システムの整備、確立、強化を推進すること。

5. 第4次急傾斜地崩壊対策事業を計画的に推進するとともに、現行採択基準を緩和し、町村の急傾斜地崩壊危険箇所をすみやかに解消すること。また、雪崩災害対策事業の早期実施をはかるとともに、砂防、地すべり等土砂災害対策を推進すること。

6. 治山治水事業および海岸事業を積極的に推進するとともに、特に火山地域の防災対策に万全を期するため、土石流対策として火山砂防事業および防災対策総合治水事業等を充実、推進すること。

7. 災害救助その他応急対策等の充実
(1) 災害救助法の救助基準の改善と迅速な適用および災害救助用のヘリコプター・ヘリポートの整備等、応急対策の充実をはかること。

(2) 地震、風水害等により甚大な被害を蒙った地域の早期復旧を図るため、激甚災害の早期指定に努めるとともに、激甚災害対策特別緊急事業を積極的に推進すること。また、被災者生活再建支援法、および天災融資法の適用基準を緩和すること。

(3) 船舶等による重油流出事故に対する防災体制の整備をはかること。

(4) 海難・水難および山岳遭難等の救助活動にともなう町村の費用負担に対する財政措置を充実すること。

(5) 災害弔慰金の支給および災害援護資金の貸付けの限度額等の引上げをはかること。

8. 改良復旧方式を積極的に採用するとともに、復旧事業の対象の拡大をはかるなど、再度災害、連年災害に対する総合的対策を確立すること。特に、災害関連緊急事業については、その弾力的運用により再度災害防止対策の拡充をはかること。

9. 町村が自主的に実施できる防災まちづくり事業にかかる地方債および地方交付税措置の充実をはかること。また、自然災害防止事業債を拡充すること。