6. 国土政策の推進


 国土政策は、国土の均衡ある発展をはかることが基本である。国土総面積の72%を占める町村は、人口減少と少子・高齢化が進行しており、国土の保全や地域社会の維持に苦慮している。こうした中、相対的に立ち遅れている地域の国土基盤の整備を急ぐとともに、21世紀に向って全国のそれぞれの地域が特性を生かした適切な役割を担っていけるよう、地方重視の国土づくりを展開する必要がある。
 また、近年頻発している各種大災害の教訓を踏まえ、災害に強い安全なまちづくり、むらづくりをはかることにも配慮すべきである。
 よって、国は次の事項を実現されたい。

1. 「21世紀の国土のグランドデザイン」を効果的、かつ着実に推進するため、これまでに取りまとめられた「戦略推進指針」及び「21世紀の国土計画のあり方」を実施していくとともに、これらを踏まえて調査審議が進められる「国土計画の新たな課題」及び「新たな国土計画制度」の検討にあたっては、多自然居住地域と位置づけられ、国土の保全と利用について大きな役割を担う町村の意向を充分に反映すること。
  また、森林、農地等、国土資源の保全、管理が喫緊の課題となっていることを踏まえ、国民の幅広い合意を基礎とした担い手確保等のための施策を確立し、推進すること。-

2.  災害に強い国土づくりのためにも、長期的視点に立って人口および産業の地方分散を推進すること。加えて、国の行政機関、研究学園施設等については地方定住、特に若者の定住にも配慮して広く地方に分散・立地させること。

3. 新産業都市及び工業整備特別地域における生活環境の整備、新産業の育成等を推進するため、平成12年度末で期限切れとなる「新産業都市建設及び工業整備特別地域整備のための国の財政上の特別措置に関する法律」による国の財政上の特別措置を延長するなど、指定地区に支障が生じないよう特段の措置を講じること。

4. 地域主導による個性的で魅力ある地域づくりを推進するため、権限の移譲および財政措置の充実強化をはかるとともに、地域づくりに資する情報の提供等、適切な支援策を講じること。

5. 農山漁村地域を活力にあふれた住みやすい地域として再生するため、美しいむらづくりを推進するとともに、農林漁業振興対策等、各般の施策を拡充強化し、総合的、計画的に推進すること。また、都市や農山漁村等の広域的な交流・連携を促進すること。

6. 人口の減少と高齢化の加速等により放置されている山村の森林、中山間部農地等については、国土管理に配慮した適切な措置を講じること。

7. 高規格幹線道路および空港等、高速交通網の整備を推進すること。特に、航空輸送の果たす役割の飛躍的な増大にかんがみ、地方空港の整備を積極的に推進すること。

8. 整備新幹線の整備については、国土の均衡ある発展を図り、豊かさを実感できる国民生活を実現するために不可欠なプロジェクトであるので、早期着工、早期完成を目指して推進すること。

9. 情報格差の是正、住民サ−ビス向上のため総合的、計画的な地域情報化を促進すること。特に、電気通信格差是正事業の拡充等により、自治体ネットワ−ク、光ファイバー網、移動体通信、CATV等の高度情報通信基盤の整備を推進すること。

10. 港湾整備事業は、豊かで活力ある地域づくりをはかるうえからも重要であることにかんがみ、第9次港湾整備七箇年計画を着実に推進すること。

11. 第6次海岸事業七箇年計画を着実に推進すること。

12. 過疎地域、辺地、山村、豪雪地帯、半島地域、離島などの町村に対する振興施策を積極的に推進すること。