全国町村会長あいさつ

 

 本日ここに、町村自治確立全国大会を開催いたしましたところ、小坂総務副大臣、山崎自民党幹事長、鳩山民主党代表、大谷全国町村議会議長会長、嶋津総務事務次官並びに政府・国会の諸先生方におかれましては、公務極めてご多端の折にもかかわりませず、ご臨席を賜り厚く御礼申し上げます。

 また、急な開催にもかかわりませず大変多くの町村長各位にお集まりを頂きましたことに、心より御礼申し上げますとともに、会場の都合上、ご不自由をおかけいたしておりますことをお詫び申し上げます。
 まずはじめに、私ども地方自治体にとって最も重要な課題であります地方分権の推進につきまして、地方分権推進委員会から「最終報告」が提出され、これに続き、一昨日三日に「地方分権改革推進会議」が政府に設置されました。分権改革を一層推し進める新たな推進体制が発足いたしましたことにつきまして、ご臨席の皆様方に対し厚く御礼申し上げます。
 さて、現在、我が国を取り巻く状況は、改めて申すまでもなく極めて厳しいものがあり、低迷する社会を象徴するような事柄が連日のように発生し、国民の心を揺さぶり不安に陥れております。
 地方に目を向けてみれば、過疎化や高齢化の進行、国、地方を通じた巨額の財政赤字など直面する課題への対応は容易ならざる状況下に置かれております。
 このような中、先に発足した小泉政権は、日本の再生と発展のため各分野にわたる構造改革を掲げ、その基本方針が、経済財政諮問会議での議論を経て、このたび示されたところであります。
 我々町村は、地域住民の暮らしのみならず、食料や水、電力などのライフラインを供給し、国土の七割に及ぶ地域を守りながら国民生活を支えるという極めて重要な役割を担っております。
 しかるに、今般の基本方針が示される過程において、「地方交付税の削減」や「道路特定財源の抜本的な見直し」といった地方への支出削減を前提とした議論が先行し、都市のみを重視したいわゆる「地方切り捨て」のような論調が跋扈したことは、誠に残念であります。
 とりわけ地方交付税は、財政基盤の脆弱な我々町村にとっては、血液そのものであり、交付税制度のもつ財源の保障や調整機能を損なう総額の削減や段階補正の見直しなどは、町村の存立にかかわる重大な問題であります。
 また、道路特定財源につきましては、地方の道路整備が著しく立ち遅れている現状をみれば、必要な財源を保障することが不可欠であります。
 さらに、最近、数値目標や年限を区切った市町村合併の推進がなされようとしておりますが、このような動きは、地方自治の理念に反し、自主的な合併を妨げるものであります。性急な合併は、将来に悔いを残すことになりかねません。
 制度疲労をただす改善のための見直しは必要であり、我々町村長も、自らの改革に積極的に取り組む所存であります。
 都市と地方を対立の構図でとらえるのではなく、改革による痛みを公平に負担し、互いに共生の関係に立つ認識が、まずもって重要であります。こうした認識のもとで、豊かな自然に恵まれた環境で子供を産み育て、人間らしく暮らせる社会を将来の世代に残すための努力が、いま求められているの
であり、我々町村長はその最前線で全力を尽くすことを誓うものであります。
 おわりにあたりまして、本日ご臨席賜りましたご来賓の方々と、お集まりいただきました町村長各位のますますのご活躍を心よりお祈り申し上げご挨拶とさせていただきます。

平成13年7月5日


全国町村会長 山本 文男


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