宣   言

 21世紀が目前となった現在、我が国は急激な情報通信技術革命の進行、少子高齢化、国際化の進展等内外の社会経済情勢が著しく変貌する中にあって、政治、行政、経済等様々な分野において大きな変革が求められている。

このような情勢の下で、国民一人ひとりが真の豊かさと安らぎを実感できる地域社会を築いていくためには、地域の総合的行政主体である地方公共団体がそれぞれの地域の実情に沿った個性あふれる行政を自主的、自立的に展開することが何よりも重要である。
 本年4月1日、地方分権一括法が施行され、地方分権はいよいよ現実の歩みを始めた。我々町村長は、同法に基づく町村の役割と責任を全うすべく、今、自らの決意を新たにしているところである。
 国においては、明年1月の中央省庁再編により21世紀のわが国に相応しい行政システムを構築する歴史的な改革を行い、町村に対して更なる事務権限とそれに伴う地方税財源の移譲を積極的に図るなど、分権改革の定着と一層の進展に努めるべきである。
 国土の7割強を占める全国2,588町村は、従前から食料の供給、水資源の涵養、自然環境の保全、人材の交流・輩出など重要な国家的役割を果たしつつ、地域の振興と住民福祉の向上のため幾多の困難をのりこえ積極果敢に取組んできた。とりわけ、介護保険制度については、高齢化が著しく進行する厳しい条件の下で、知恵を絞り、工夫をこらしながら、その円滑な運営のため懸命の努力を傾注しているところである。
 しかるに昨今、こうした町村の努力にも拘わらず、市町村合併の在り方に関する中長期のビジョンを示すことなく、一定の数値目標等を設定し、これを推進しようとする動きが見られる。我々町村長は、国に対し、市町村合併が地域住民の意思を尊重した真に自主的なものとなるよう改めて強く要望する。 国民共通のふるさとである農山漁村の健全な発展なくして、真の国家の繁栄はあり得ない。
 今こそ政府、国会は、農山漁村の果たす重要な役割を再認識し、経済効率のみにとらわれることなく、わが国の将来を見据えた公共投資など実効ある施策を重点的・計画的に断行するとともに、地域の創造性に富んだ施策の展開を期して町村の行財政基盤を強化すべきである。
 我々町村長もまた、自らの変革を厭うことなく、住民が誇りと愛着を持つことが出来る活力ある地域社会の実現のため、全力を尽くすことをここに誓う。
 以上宣言する。
平成12年12月6日

 

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