会長あいさつ  

 

 本日ここに、全国町村長大会を開催いたしましたところ、森内閣総理大臣、綿貫衆議院議長、井上参議院議長、片山自治大臣を始め関係大臣、全国町村議会議長会会長並びに国会議員の諸先生におかれましては、政務極めてご多端の折にもかかわりませず御臨席を賜り厚く御礼申し上げます。

 また、全国の町村長各位には、本大会のため遠路ご参集をいただき、心から感謝を申し上げます。  

 初めに、有珠山噴火、伊豆諸島の地震、噴火、東海地方の大雨、鳥取西部地震等の災害に遭われ、今なお不自由な生活を余儀なくされておられる方々に心からお見舞いを申し上げますとともに、それぞれの地域の一日も早い復興をお祈り申し上げます。  

 さて、21世紀も残すところ20日余りであります。

 著しく変貌する内外の社会経済情勢にあって、我が国は様々な分野における大きな変革が求められております。

 政府、国会におかれては、新時代に相応しい国家づくりを目指し、日夜尽力されておられることに対し、心から敬意を表するものであります。

 こうした中、本年4月1日に地方分権一括法が施行され、分権型社会の創造に向けた制度改革が大きな歩みを始めました。

 健全な民主国家は、その基礎をなす市町村が住民に身近な事務を住民の意思に沿って、住民の力で健全に運営していかなければなりません。

 私どもは、町村に課せられた役割と責任を適確に果たすべく、地方分権推進のための諸制度の改革はもとより、徹底した行財政改革を通じて一層の行政運営の効率化を図り、多様化する住民ニーズに応えながら、活力に満ちた地域づくりに邁進する決意を新たにしているところであります。  

 我々町村長といたしましては、真の分権型社会の実現に向けて今後も全力を傾注して参る所存であり、国におかれては更なる権限の移譲と、地方税財源の充実確保について特段の措置を講じられるよう強く要望いたします。  

 ところで、昨今、財政状況の著しい悪化等を背景に、市町村合併の理念や目的を何ら示すことなく基礎的地方公共団体の数値目標が示されるなど、市町村の合併を性急に推進しようとする動きが活発になってきております。

 複雑、多様化する町村の事務事業の適切な処理、実行の段階に入った地方分権を推進するためには、市町村の行財政基盤の充実が必要であることは言うまでもないことでありますが、それぞれの町村は歴史的な経緯、文化・風土や地理的条件等が異なっており、さらには、市町村合併は将来にわたる地域の在り方や住民生活に大きな影響を与える最重要事項でありますので、関係町村の自主的な判断を尊重することが何よりも重要であります。

 本大会の決議にも掲げておりますが、全国町村会は機会あるごとに、市町村合併を強制しないよう関係方面に強く要望しているところであります。

 国におかれましては、私どもの意を十分お汲み取りいただき、適切な対応をお願いいたしたいと存じます。  

 申し上げるまでもなく、美しい安定した環境を守りながら、国民一人ひとりの生命や安全な生活を守る事は、政治や行政が負うべき極めて重要な課題であります。

 国土面積の7割強を占める2,558町村に立地する農山漁村は、国民生活に不可欠な食料の供給はもとより、自然環境の保全、緑や水の供給源という国家的役割を果たしてきたところでありますが、その現状は過疎化、高齢化の進行、加えて国際化の進展、担い手の減少等厳しい状況に置かれており、このままでは国土の維持管理能力が低下し、国家の将来に重大な影響を及ぼすことが危惧されます。  町村の発展なくして、国勢の伸展はあり得ないのであります。  

 本年3月、「食料・農業・農村基本計画」が策定され、今後この計画に基づき、食料、農業、農村に関する各種の施策を総合的かつ、計画的に推進することとされておりますが、山村、漁村にもこの基本計画の理念や施策の内容を活かして頂き、農山漁村一体となった活性化が図られるよう強く要望するものであります。

 また、来るべき21世紀は共生の時代と言われます。都市との相互協調を図りつつ新時代を切り拓いて行かなければならないと存じているところであります。   

 今月下旬には平成13年度の政府予算編成の時期を迎えることとなります。

 明年度の地方財政をめぐる環境につきましては、わが国経済に緩やかな回復傾向が見えてはおりますが依然として厳しい状況であります。

 分権時代に相応しく、地方税源の充実強化と町村にとってかけがえのない財源である地方交付税について、交付税率の引き上げを含め、所要額の安定的な確保を強く求めるものであります。  

 御臨席の来賓各位におかれましては、「介護保険制度の円滑な運営」等、本大会の掲げました17の決議、44項目にわたる要望について十分なご理解を賜り、その実現につき格段のご高配をお願い申し上げる次第であります。

 我々町村長もまた、これらの課題に対し、地域住民の理解と協力の下に、住民がゆとりと豊かさを実感できる魅力ある地域社会の実現のために全力を尽くす事を誓うものであります。

 終わりに望み、本大会が所期の成果を収めますよう、皆様方の格別のご協力をお願い申し上げましてご挨拶といたします。

 

平成12年12月6日

全国町村会長     

山 本 文 男

 

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