宣言

 21世紀を目前に控えた現在、わが国は内外の社会経済情勢が著しく変貌する中にあって、政治、行政、経済等、様々な分野において大きな変革が求められている。こうした情勢の下で、地方分権は、いよいよ実行の段階を迎えた。

 国民一人ひとりが真の豊かさと安らぎを実感できる地域社会を築いていくためには、地域の総合的行政主体である地方公共団体がそれぞれの地域の実情に沿った個性あふれる行政を自主的、自立的に展開することが何よりも重要である。

 我々町村長は、先の国会で成立した地方分権一括法に基づく町村の役割と責任を全うすべく、今、自らの決意を新たにしているところである。国においては、国、都道府県、市町村を対等・協力の関係においた分権改革の歩みを確固たるものとするため、更なる事務権限の移譲とそれに伴う地方税財源の充実強化をはかるべきである。

 国土の7割強を占める全国2,558町村は、従前から食料の供給、水資源の涵養、自然環境の保全など重要な国家的役割を果たしつつ、地域の振興と住民福祉の向上のため、幾多の困難をのりこえ積極果敢に取り組んできた。なかんずく、法施行が間近に迫った介護保険制度については、高齢化が著しく進行する厳しい条件の下で、その円滑な導入に向けて懸命の努力を傾注しているところである。

 国民共通のふるさとである農山漁村の健全な発展なくして、真の国家の繁栄はあり得ない。

 今こそ政府、国会は、農山漁村の果たす重要な役割を再認識し、経済効率のみにとらわれることなく、わが国の将来を見据えた重点的・計画的な公共投資など、実効ある施策を断行するとともに、地域の創造性に富んだ施策の展開を期して、町村の行財政基盤を強化すべきである。

 我々町村長もまた、自らの変革を厭うことなく、住民が誇りと愛着を持つことができる活力ある地域社会の実現のため、全力を尽くすことをここに誓う。

 

 以上宣言する。

平成11年12月1日

全国町村長大会

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