全国町村会

健康と福祉で協働のまちづくり

  


北海道奈井江町

2470号(2004年2月23日)  奈井江町おもいやり課 福祉係:別部 睦子/保健介護係:渡辺 秀樹

奈井江町の概要

北海道の中央、石狩平野のやや北部に位置し、東は夕張山系、西は石狩川に育まれた地味肥沃な農村地域です。

JR函館本線と国道12号がまちの中央を、道央自動車道が東側山手沿いを南北に縦貫し札幌、旭川の中間に位置する交通至便な地域です。

米を主産としメロン、ユリ根、トマトなどの生産に力を入れていますが、炭鉱が閉山した後、企業誘致に努め国内炭の火力発電所、精密電気機器、超硬工具、電線、畜熱暖房機製造などの企業の立地を見、人口は7,300人ほどの農・工・商の調和のとれた町づくりを進めています。

1935年に産業組合(現JA) が協済病院を設立し、翌年組合による国民健康保険類似事業を全国に先駆けて手掛けています。1939年には法に基づき国民健康保険組合を北海道第1号として設立しています。この精神が、現在の「健康と福祉のまち」宣言(1994年)に受け継がれているものと思います。

1988年、全国の自治体として最初の老人保健施設の開設を契機とし、福祉の先進国フィンランド、ハウスヤルビ町との交流を通し町立国保病院、特別養護老人ホームの建設にあたり個室化の推進など入所者の人格を尊重した施設整備に努めてまいりました。

町内の開業医との連携による病診連携開放型共同利用システムを医療のみならず、単独事業として介護保険施設の分野にも拡大した“かかりつけ医”による継続的診療は保健・医療・福祉の連携の要として機能しています。

また、介護保険の施行にあたり認定から給付までを近隣1市5町からなる広域連合で運営してまいりましたが、この取り組みを、国保、老人保健事業にも拡大し行政の効率的な運営の試みを模索しています。

今回は、これら奈井江町の取り組みの中から、介護保険関連施設の運営と介護予防、子育て支援の取り組みついてご紹介したいと思います。

  

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地域にあった施設の運営

介護保険制度が施行され、3年が経過し、現在、老齢人口は1,950人ほどで260名前後の方が要介護認定を受け、そのうち約4割の方が施設や病院で生活をしています。町内には特別養護老人ホーム(50床)、老人保健施設(50床)、介護療養型病床群(30床)が整備されていますが、町内外からの利用もあり施設は全て満床で、待機者が数多くいるのが現状です。

特に1996年に開設した特別養護老人ホーム「やすらぎの家」は、入所者の家族や友人が気軽に立ち寄れるよう市街地に建設し、居室は当時では珍しい1人部屋もしくは2人部屋を基本に、入所者の自由な生活を重視することで各地から注目を集めています。

福祉施策を進めることで、住民の行政に対する期待が大きく、施設入所に依存的であるのも事実です。そのため、在宅生活を支えるケアマネジャーと住民の意向とのギャップをどう埋めていくかが重要な課題となっています。

施設への意向が強いのは、北海道特有の除雪の問題も影響しています。町では除雪対策として、市街中心部に流雪溝、融雪溝、電気融雪槽を整備しているほか、間口除雪サービス、町内の各種団体の協力によるボランティア除雪を行っていますが、十分なマンパワーを確保することが難しいことから、サービス内容や対象者を限定しなければならない状況です。こういった地域の事情や家族の都合で一時的に在宅生活ができない方を対象に、老人保健施設「健寿苑」では「在宅を支える」ことを目的として入所を受け入れることがあります。本来、老人保健施設は在宅生活に向けたリハビリを行うことを基本としていますが、在宅の要介護者を支えるためには柔軟な対応が必要ですし、一度施設に入所した方が自宅に帰ることで、他の入所者の意識も変わります。

介護保険制度では、「施設」から「在宅」へのシフトという基本理念が掲げられていますが、「施設」と「在宅」で線を引くのではなく、それぞれの特徴や機能を生かして、在宅生活を支えていくことが必要なのだと思います。

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これからの介護予防

最近、虚弱の高齢者が要介護状態にならないための介護予防事業が注目を集めていますが、当町では、2001年度から65歳以上の高齢者を対象に、保健師を中心として筋力トレーニング事業を行っています。

トレーニングは、高齢者向けマシンを使用して、3ヶ月間、週2回のペースで3ヶ月間を3期に分けて進めていきます。第1期目の「コンディショニング期」にはトレーニングができる体をつくり、第2期の「筋力強化期」では個人の体力に応じて本格的なトレーニングを行い、第3期の「機能訓練期」では、日常生活の機能の向上に向けてトレーニングを行います。

トレーニングの効果は多岐にわたり、最も顕著なことは下肢筋力やバランス機能に改善がみられることで、高齢者の転倒予防や閉じこもり防止につながっています。参加者の中から「体力がついた」「姿勢が良くなった」という感想が多く寄せられ、参加者自身が日常生活の中で効果を実感しています。また、身体機能が改善されることで自信がつき、閉じこもり傾向の方の活動意欲が向上し、外出や各種事業に参加する機会が増えるといった効果もみられました。実際、パーキンソン病の方は、トレーニングの開始とともに表情がどんどん良くなり、以前は話しかけられても「ぽつぽつ」と答える程度だったのが、自分から話しをしたり冗談を言うなど表情が豊かになりました。また、トレーニング仲間と新しい人間関係が構築できたり、達成感を感じるという効果もありました。

介護予防事業で重要なことは、体力の維持や健康づくりに関して、高齢者が継続的に取り組めるように手助けをしたり、きっかけをつくることだと言われています。そういった意味では、筋力トレーニング事業は、高齢者自身がトレーニングの楽しさや意義を感じ、継続への意欲が生まれているため、非常に効果的であると認識しています。今後、その他の介護予防事業も検討する必要がありますが、全てを行政が担うのでなく、ある程度道筋をつけたら、高齢者自身が自発的に活動できるような広がりも必要ではないかと考えています。

  

  

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子育て支援

過疎・少子高齢化の悩みを抱えている奈井江町の子育て支援のひとつに、「KID'S Net ないえ」という『子育てサポートシステム』があります。このシステムの始まりは、町づくり百人委員会(子育て支)援部会の中から生まれました。子育て中のお母さん達から遊び場、小児科、保育所、幼稚園、託児・学童などについて「町立国保病院に小児科の設置を」「町には、りっぱな音楽ホールがあり良質なクラシック音楽会も行われ、ぜひ聞きに行きたいが、子供を見てもらう託児が必要」「歯医者や美容院など少しの時間、子供を見てくれるところがほしい」「転入してきた私は知り合いも少なく、子供を遊ばせるのに苦労している」「学童保育がほしい」等色々な意見が出されました。その中で具体的には何が必要なのだろう?その為に自分たちができる事は何だろう?公共でできる事は何だろう?と課題整理を進めていく中で、託児のサポートシステムと学童保育の2点に絞られ、町民の中に小さなタネが蒔かれました。「協働で創り上げる!」「話し合いだけでは終わらせたくない!」と何人かが集まり蒔かれたタネを育て始めました。

学童保育については、公設公営で昨年度4月より小学校の空き教室で実施し子供たちが放課後や休校日に安心して過ごすことができていますが、その運営にあたっても、郷土史研究会等のご協力をいただき遊びを教えていただくなど、地域で子育てに取り組んでいます。

託児については、町民サークルとして、2001年4月会員制託児システム『KID'S Net ないえ』が誕生いたしました。このシステムは、午前7時30分から午後8時までの間で、子供の託児や保育施設への送迎などを行うものです。援助が必要な場合、サポートリーダーに依頼をします。それを受け援助できる人を探しコーディネイトしていきます。現在42人の会員が登録し、1時間500円で住民同士が子供たちの託児を原則自宅で行います。親は安心して、病院へ行ったり、学校行事やボランティア講習に参加したりできるようになりました。国の補助でファミリー・サポートシステムがありますが、奈井江町の人口規模では対象にはなりません。しかし、人口が少なく、活動件数が少なくても必要としている方がいるのであればそれは必要なものなのです。『できる事から』と、託児以外にも、子ども用品のリサイクル活動や、情報交換の為の茶話会、ふれあいコンサートなどもおこなっています。まだまだ他人の家へ子供を預ける事への抵抗感が(特に年配者)ある中での理解や周知、依頼会員(子供を預けたい方)が増えているものの、援助会員(子供を預かる方)が不足している等、課題も残されています。

就労希望者が増え、少子化にもかかわらず保育所等の入所希望児は増えています。集団保育・個人保育の利点や欠点もありますので、よりニーズに合わせた支援ができるかを考えていく事と選択肢を広げていく事が大事ですが、行政だけでは限界があるので、民間・地域での取組みをさらに考えていく必要性を感じます。

奈井江町では、情報を公開し住民みんなで共有し、参加する「協働のまちづくり」を進めています。住民の健康と福祉をテーマに始められた町づくりへの想いは一人一人の町民に着実に浸透し新たな地方自治の展開の大きな力となろうとしています。

これからも、地域の特性を活かした住民参加の町づくりに努めて参ります。

  

島と本土を結ぶ大島大橋

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