全国町村会

自民党「財政再建に関する特命委員会」報告と「骨太の方針2018」

東京大学名誉教授  大森 彌(第3046号・平成30年7月9日)

自民党政務調査会の「財政再建に関する特命委員会」(会長:岸田文雄政調会長)は、2018年5月24日、報告を安倍総裁に提出した。本年の2月以降、新たな財政健全化の目標・計画に関する議論を行い、それをまとめたものである。

報告は、「W 歳出改革の具体策」の「3 地方財政」の「A広域連携等による地方財政の効率化」の中で、次のように指摘している。「人口減少を見据え、市町村間での行政サービスの広域連携を更に推進するとともに、既存の取組で市町村合併が進まなかった地域に関して更なる合併を推進する枠組みについても検討する。」(傍線は筆者)この一文は見過ごせない。もし、この通り「骨太の方針」に盛り込まれれば、町村にとって事は一挙に重大化する。2018年6月15日に閣議決定された「骨太の方針2018」では、「地方公共団体の実情に応じ、市町村合併の進捗状況が地域ごとに異なることを踏まえ、現行の合併特例法が平成31年度末に期限を迎えることへの対応を検討する・・。」となっている。

顧みれば、「平成の大合併」の跳躍台になったのは2001年6月の「骨太の方針第1弾」であった。そこには、「@すみやかな市町村の再編を、A規模等に応じた市町村の責任を」(団体規模等に応じて仕事や責任を変える仕組みを検討)とあり、@は強力な合併推進として、Aは「特例町村」の構想(いわゆる西尾私案)として表出した。

「既存の取組」とは、普通交付税の算定替え、合併特例債の創設などの促進策や知事による合併協議会設置の勧告などの強力な働きかけのことであろう。それでも合併が進まなかった地域に関して検討するという「更なる合併を推進する枠組み」とはどんなものなのか。歳出改革の大義の下では更なる「アメ」の提示は困難であろうから、「ムチ」を用意することになるのだろうか。合併が進まなかった東京などをターゲットにするのであろうか。それとも人口減少による小規模市町村の消滅可能性を強調して合併強制の法的措置を考えるというのであろうか。当面、次期地方制度調査会で期限が来る合併特例法がどう扱われるかを注視したい。

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