全国町村会

学校給食のご飯の全量が地元産有機米

コモンズ代表・ジャーナリスト 大江 正章 (第3044号・平成30年6月25日)

地域の風土に根ざした食文化・食生活が失われつつあり、子どもの健康や地域の環境にも影響が現れているいま、学校給食には、本来の食のあり方を伝える役割が強く求められている。また、父母からは、地元の安全な食材を使用してほしいという要望が強い。さらに、多くの農業者は自らが作った米や野菜を子どもたち・孫たちに食べてほしいと望んでいる。そして農水省は、第三次食育推進基本計画(2016〜20年度)で、学校給食における地場産物(都道府県産)を使用する割合を現状の26.9%から30%以上とする目標を掲げた。つまり、地場産農産物の学校給食への使用は、広範な合意が得られている。

しかし、地元産の有機農産物を恒常的に、ある程度高い割合で使用している市町村はきわめて少ない。一方で農水省の調査では、「一定の条件がそろえば有機農産物を購入したい」と考える消費者は55%と半数以上を占める。

そうしたなかで千葉県いすみ市(人口約3万8000人)では、全国で初めて2017年秋から学校給食用のお米をすべて地元産有機米(コシヒカリ)に切り替えた。いすみ市は有機農業が盛んな自治体ではない。2013年の有機米の栽培面積はわずか20a、収穫量は240sにすぎなかった。だが、太田洋市長の強い意欲と約20農家を軸とする有機稲作モデル事業により、毎年、栽培面積を増やしていく。無農薬稲作で最も課題となる除草技術に優れた民間研究機関のアドバイスが功を奏した。わずか4年後の2017年産は14、50tに拡大。10小学校と3中学校の約2300人分42tを供給できた。子どもたちの評価はきわめて高く、残食量は大幅に減ったという。

首長の姿勢、それを支える職員の努力、農業者・民間組織との協働が相まって、この画期的成果が達成された。さらに、地域の落ち葉・孟宗竹・米ぬか・海藻を材料とした土着菌完熟堆肥も完成。環境と経済が調和した「有機の里づくり」に向かって着実に歩んでいる。

*いすみ市で7月21日に開催される第5回生物の多様性を育む農業国際会議では、地場産有機農産物の学校給食をどう実現するかをテーマにした分科会が開かれる(問合せ先=0470-62-1515)。 

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